日本に古代はあったのか (角川選書)価格: 1,680円 レビュー評価:3.5 レビュー数:7 日本に古代はあったのか、という書名は確かにセンセーショナルな響きがありますし、本書を貫く「関東史観」への批判は、東大学派と京大学派の対立構造まで浮き上がらせているわけで、大変興味深く最後まで読みました。
何の疑問も持たなかった事柄についてこれだけ論じられるとしっかりと正対しなくては、という気分にさせられる書籍でした。
学習指導要領の時代区分での中世の始まりは院政期前後を区切りとしていますので、昔のような鎌倉幕府の成立からではありませんし、近世の始まりはヨーロッパ人の来航からになっており、これも江戸幕府を起点にしたものではありません。
このよう |
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ニコマコス倫理学 (西洋古典叢書)価格: 4,935円 レビュー評価:5.0 レビュー数:4 現時点で最も評判の良い日本語訳。難易度は高校生であれば読める程度。ところどころ入門レベルの哲学の知識が必要な話も出てきますが、同じページに脚注がついているので何も知らなくても大丈夫です。
近代や現代の哲学書と比べると、かなり日常生活密着型です。良い人生とは何か、幸福に生きるためにはどうすればよいかということが、かなり常識的な感覚で書かれています。「服を持ち上げる手間すら惜しんで、引きずり回して歩く人がいる」は、私の中で名言です・・・・。恋愛についてもやたら長々と自分の意見を語っています。ああアリストテレスってこんな感じの人なんだな、というのが、まるで会ったかの如くに |
新編 素粒子の世界を拓く―湯川・朝永から南部・小林・益川へ (学術選書)価格: 1,575円 レビュー評価:4.0 レビュー数:1 旧版「素粒子の世界を拓く―湯川秀樹・朝永振一郎の人と時代」に特別補遺「南部・小林・益川の寄与」全18頁(「対称性の自発的破れ」「CP対称性の破れとクォーク数」「ビッグバン宇宙と物質の起源」)を追加した新編です。(この特別補遺は、分かる人には良く分かる内容なのですが、全く馴染みのない人には少し辛いかもしれません?)
本書を読むと日本の素粒子物理学の系譜が良く分かります。湯川・朝永両先生がどのように学問を身に付けていったのか、家族・学校の環境から振り返り、両先生の指導者や同僚からどのような影響を受けていたかを解説する処も興味深く読めました。(特に、仁科先生が欧州留学中に体得した量子力 |
ニューロンの生理学価格: 8,820円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 話題は、大部分を神経細胞、イオンチャンネル、シナプスな
どに絞っているが、いままでにないスタイルの新しい神経生理
学の図書で、将来、研究者を目指す人にとっては、単なる知識
だけでなく研究方法なども学べるように十分配慮されている。
フランスの第一線の研究者による原著をそれと同等以上の日本
の研究者が翻訳を担当しているので、訳が大変読みやすい。ま
た、随所に挿入されている訳注やチャンネル構造と高次機能に
関する2つの補章も適切で役に立つ。
多く出版されている神経科学のテキストのうちでも傑出してお
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脳科学のテーブル (学術選書)価格: 1,890円 レビュー評価:4.0 レビュー数:1 本書は、わが国で脳科学研究を先導している数名の研究者が行った2つの対談の記録をもとに、甘利俊一博士(理化学研究所脳科学研究センター所長)が中心となって、読者の理解を助けるための前書き、コラム、2つの対談をつなぐ説明を加えられ、この分野の最先端の知見を学問の成立から方向性まで理解しやすいように編集されたものである。脳科学研究に興味を持つ大学院生や研究初心者ばかりでなく、門外漢の私でさえ、最先端の研究者がまさに歯に衣着せぬ議論を行った記録として、最後まで大変興味深く読むことができた。脳という、現代科学の最大の謎でありフロンティアに挑む研究者が、自らの研究と歴史に残った業績を対比して語る内容には迫 |
英雄伝〈1〉 (西洋古典叢書)価格: 4,095円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 現存している『対比列伝』24巻中の4巻、「テセウスとロムルス」、「リュクルゴスとヌマ」、「ソロンとププリコラ」、「テミストクレスとカミルス」が訳されています。『対比列伝』は、何らかの共通点があると見られる有名なギリシャ人とローマ人とを一対にして、それぞれの生涯を、些細なエピソードと場所・時代を考証した歴史事変とで綴り、その人の性格の長所と欠点とを明らかにしています。まとめに二人の直接の比較も行い、倫理的な性格からみた互いの差異を更に際立たせています。
本書の訳者による翻訳A.Momigliano『伝記文学の誕生』によると、ギリシャでは、既に紀元4世紀前ごろから、伝記 |
シーア派イスラーム 神話と歴史 (学術選書)価格: 1,890円 レビュー評価:4.0 レビュー数:1 桜井 啓子氏の著作「シーア派ー台頭するイスラーム少数派」と同様、本書も、イラン中心の取材とソースに基づいて記載されています。イランが現代シーア派の中で最も人口を有し、目立った活動をしている為当然のことですが、現在も歴史上もイラン=シーア派ではない、といいながら、この点に限っては、すっきりしないまま、結局イランとシーア派の根強い関連という印象が残ってしまう点が、桜井氏にも、本書にも感じられます。
本書は、シーア派が徐々に形成されるおよそ200年間の歴史を、章毎に、代々の指導者(イマーム)の伝記を綴っていて、この時代の人物と事件を知るには、非常に有用な書籍となっていま |